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2013.06.24 (Mon)

食後に一杯の紅茶を。

「やあ、マスター。ランチメニューはまだ残っているかい。」


「おや、人気作家のオルティス先生。まだ大丈夫ですよ、Aランチは売り切れてしまってますが。」

「何を急にかしこまって、先生だなんて呼ぶんだ。いつもどおりにしてくれよ。じゃないと、二度と足を運ばないぞ。」


「へえへえ、すいません先生。さて、なににしましょうか?」

「じゃあ、Bランチとセイロン産の紅茶を。」


「かしこまりました。今日はながくなりそうですかな。」

「そうだなあ。できれば必要以上に長居したくはないのだけれどね。」


「大ヒットした幽霊話はちょっとした冒険でしたしね。なにより、うちの店で構想が練られた、しかも当事者がたまたまその場に居合わせたというのが大きかったですね。うちにとってもよい宣伝になりましたし。」

「そのわりには、私に1ドゥカートも礼金をよこさないじゃないか。」

「そうがつがつしないでください先生。今日のランチはサービスにしておきますから。」



【More・・・】

*****



「かれこれ2時間ほどになるが、どうですかい、いい話が書けそうですか。」

「う~ん・・・なかなかうまくいきそうにないなあ。」

「そうですか。・・・先生。締め切りってやつはあるんですかな?」


「いや、特にはないんだが。」


「ならもう少し待ってれば、きっといいお話しが書けるんじゃないかと思いますよ。」

「根拠はあるのかい?」

「この間の幽霊話を確かめに同行した、バーボンハウスの方々がいるでしょう。覚えてますか?」

「もちろんだ。調査の協力にも快く賛同してくれたし、道中も楽しませてくれた。感謝し足りないくらいだ。そのバーボンハウスの方々がどうかしたのかい?」


「いえね、小耳に挟んだ程度なんですがね。」

「ふむ。」


「先日同行していらした十字傷の御仁がいたでしょう。彼が海賊を探し回っているそうなんです。ちょっと前に、ロンドンから紅いフリゲートが出港していたでしょう。あれは彼の船なんだそうです。」

「ふむ。別段面白い話でもなさそうだがね。」


「まあ、聞いてくださいよ。あのミッターマイヤーという御仁がお探しの海賊は、なんと女なんですって。どうやら彼は、その女海賊に惚れ込んだようでして、久方ぶりにご自分の船を引っ張り出して彼女を捜しにいくんだそうですよ。」





「・・・なるほど。で、その恋の結末はハッピーエンドになったのかい?」



「いえ、まだ現在進行形だそうですよ。もしかしたら、こうしている間にも何かしらあったかもしれませんが、こればかりは知らせを待つしかありません。あれだけの御仁ですし、何かしら噂は立つでしょうよ。」



「ふむ・・・。」




「どうです?先生。いい題材になりそうじゃないですかね?」


「確かにそうだが、なんかこう、もう少し情報がほしいな。」

「そこから先は先生の腕次第じゃないですか。設定としては申し分ないと思いますがね。想像の翼を広げて先生なりのお話しをつむいでいけばよろしいではないですか。」


「まあ、そうなんだが・・・。」


「・・・先生、それでね、彼は手土産を持参しているんです。」




「なにかな、それは」



「ポートワインとジキタリスの花です。」




「・・・・はっはっは。なるほど、彼らしいね。」


「ジキタリスは隠し切れない愛。熱愛を指している。ポートワインは愛の告白か。まあ、小細工なしってとこですな。まったく単純明快な話です。」

「そうだね、むしろそれくらいがいいのかもしれない。・・・それにしても、マスター。何でそこまで知っているんだい?」



「私のつくるオルチャータが好きだといって、足しげく通ってくれる、ツインテールの金髪のお嬢ちゃんがいましてね。彼女が教えてくれたんですよ。しかも、彼の性格を考えて手土産を準備したのはその子なんです。」


「・・・なるほど、バーボンハウスの面々は面白いな。本当に。」



「私もそう思います。・・・さて先生。先生なりのシナリオを検討しながら、吉報を待ちましょう。ミッターマイヤー氏の嘗ての二つ名をご存知ですか?」


「『イスパニアの疾風』・・・知らんはずもないだろう。彼のことだ。知らせが来るのもそう遠い先のことではあるまいて。早速練り始めるとしようかな。」




「それでは、紅茶のおかわりを持ってきますね。」





「これもサービスかな?」






「もちろんですとも。ただし、話が出来上がったら、いのいちばんに読ませてくださいね。・・・では先生。がんばってくださいまし。」







~おわり~


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