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2013.09.20 (Fri)

even if we're dancing in the dark ③

両者の間に割って入ろうと、俺はタイミングを計っていたが、なかなか踏み込む見切りがつけられない。

相手は3人。片や名刀マスカレードを手にしているとはいえ、女一人。仮にそれなりの賞金首といえども、この状況は不利といわざるを得ない。野次馬たちも固唾を呑んで、次の動きを見逃すまいと注視している。

すると、どこからともなく小石が投げつけられ、男の頭にコツンと当たった。

その瞬間、桃色の刀身が翻った。女は音もなく左足を大きく、だがすばやく踏み込み、男の懐へもぐりこんだ。

感心するまもなく、右手に握られた桃色の曲刀が左下から右上へと逆袈裟に切り上げられた。






【More・・・】

鋭い斬撃はほのかに紅い太刀筋を残し、下から切り上げられる。

それまでの動作を見る限りではなかなかの腕前であることがわかったが、私掠艦隊の連中も一筋縄ではないようだ。

彼女の鋭い斬撃は、男の体を袈裟に両断するかと思われたが、男はすんでのところで受け流した。

サーベルを力任せにあてがえばそれごと真っ二つにされてしまいかねないのを瞬時に判断した。

そこらの荒くれどもにはできない芸当だった。海賊行為を政府から認められている連中というのは、やはり伊達じゃないんだな。



彼女の鋭い斬撃はほのかに紅い太刀筋を残し、男の胸元をえぐるかと思われた刹那、男は後ろへ後ずさり斬撃をかわした。

ただ無傷というわけではなく、相手の胸元をかすかかすめ、皮一枚傷をつけたといったところか。

両者は一息つくようすで、すこし距離をあけた。俺はその隙を逃さずに人だかりの中から一歩踏み出して斬り合いをしている二人の間に入っていった。

「ちょっと待った。こんなところで斬り合いしてたら警備兵がぞろぞろやってきて監獄入りだぞ。何があったか知らないが、ここは一旦剣を収めないか。そのほうがつかまるよりはましだろう。」


言ってはみたが、当の本人たち。特に男連中は引き下がりそうになかった。何を言っているのかというような顔で俺をにらみつけてきた。


「誰だか知らんが邪魔立てするな。事情を知らぬならなおさらだ。そこをどけ。そこな女はわれわれの獲物だ。」

「獲物?・・・なるほど彼女は賞金首か。」

「そうだ。貴様も航海者の端くれなら聞いたことがあるだろう。」

「・・・端くれ?」

「あの女はアイスダガー・ケリーと呼ばれている女海賊だ。当然、賞金首でもある。」

その名前は確かに、耳にしたことはあった。なんでもヴェネツィア共和国に仇なす皇帝をなのる海賊の懐刀(ダガー)として常に側にいると聞いている。
だが、先日俺が自称皇帝と出くわしたときにはなぜかその姿はなかった。

「なるほどね。で、大の男が3人雁首揃えて女のケツを追っかけまわし、市中で斬りあっているわけですな。なるほどなるほど。」

「てめぇ、ふざけた事言っていると一緒に斬り殺すぞ。」

別の男が後ろから怒鳴りつけてきた。


「やれるものならやってみるがいい。」

俺が腰の物を抜こうとした時、


「ちょっとまった!」

すこし甲高い女性の声が響いた。

「私も参加するよ。これで3対3でしょ。」


聞きなれた声だった。桃色のショートヘアに大きな瞳。口元は少しいたずらっぽい笑みを浮かべている小柄な女がそこにはいた。駆け出しのころ、同じ航海者養成学校で机を並べて学んだ。その後は同じ商会に所属し、冒険かとして名を馳せた女冒険家だ。もちろん、剣術の腕は超一流だ。

「ちょうどよかった。さっき、あんたの家にお邪魔したんだ。頼みたいことがあってね。」

「頼みたいことって、このことかな?」

「いや、このことじゃないが、それは後で話そう。」

「それにしてもあなた、きれいな女性には目がないわね。」

「初対面だ。それにまだ会話をしていない。勝手なこと言うな。」

「女じゃなきゃ助太刀しなかったくせに。」

「そんなことよりあいつらが先だ。」

俺は改めて、私掠艦隊の連中に向き直り、剣を抜いた。

「挨拶が遅れたが、私はイスパニアのミッターマイヤーだ。航海者の端くれだが、それなりに剣は扱える。そうだな、貴公らに豚のような悲鳴を上げさせるくらいはね。」

言い終わるかどうか位のところで一人が俺に斬りかかってきた。頭に血が上ったような単純な斬撃だ。縦一文字に振り下ろされる相手の剣を半身になってかわし、サーベルをのど下に突きつけてやった。

「うっ」

男はうめいて動かない。俺はすばやく刃を返して、男の両腕を切りつけた。


ぎゃっと悲鳴を上げて地面に転がり、苦痛でのたうち回っている。

「言っておくが」

これだけは言っておかねばならない。俺は残っている二人に向かっていった。

「そこにいる女は俺より強いぞ。どうするね。逃げるなら今のうちだ。」

「嘘を言うな。こんな小娘が強いはずが・・・」

「コルテスの部下にアルバラードがいるのを知っているだろう。君らは1人で彼に勝てる自信があるかね?」

「なんだと・・・?・・・まて、確かに少し前にアルバラードが決闘で倒された話を聞いたことがある。負けた相手が女だったとも・・・。まさか・・。」

「・・・・試してみる?期待に添えるだけの実力はあるつもりだけど」

 笑みを浮かべて、彼女はすらりと腰の得物を抜いた。


それを見たとたんに、苦痛にあえいでいた男の後ろで身構えている二人は後ずさりをはじめ、やがてばたばたと走り去っていった。


俺は仲間を置いて逃げていった二人にあきれてものも言えなかったが、俺が切りつけた男はまだ地面にうずくまっている。

そいつを起こしたあとで「文句があるならセビリアの3番商館に来い」と伝えて離してやった。

今となっては俺はあまり出入りしていないが、何かあれば商館秘書から連絡があるしな。





*****


「・・・そんなことしてたら、気が付いたらその女はいなくなってしまっててね。」


「なによそれー!」


「人だかりも出来ていたし、あそこで、身元をばらされたら逃げるしかないだろうよ。遅ければ船も抑えられて出港できなくなってしまう。」


「で、そんな少ししか見ていない女海賊を捜しに行くってこと?」


「まあね。私掠海賊のおかげで身元はわかったから、情報は漏れてくる。酒場の連中や、情報屋のネットワークを駆使して行けば場所の特定にそこまで時間はかからんだろうよ。何せ海賊、航海者の嫌われ者だからな。」

「その嫌われ者に恋焦がれるなんて、あなたもどうかしてるわ。」

「ただ単純に海賊に堕ちたわけでもないような気がする。これは俺の勘だがな。」

「そう信じたいだけでしょうに・・・。」



「そういうなって。だから、お前も何か情報があったら教えてくれよ、ロサリオ」


「・・・仕方ないわね。その代わり・・・」


「見返りはちゃんと考えてるさ、楽しみにしてるんだな。それじゃあ、また来る。それまでに情報を集めておいてくれ。」












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12:25  |  短編書き下ろし  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

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