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2013.05.21 (Tue)

even if we're dancing in the dark ②

マルセイユの郊外にある、大きくもなく、貧相でもない、ちょうどよい感じの邸宅の前についた。

引越したという便りも何もないから、ここなのは間違いない。

玄関先にはなんと言っていいか、いいようのない表情をした大きな顔だけの石像がある。

いったいこれは何なのかよくわからないのだが、本人に聞きそびれていて結局わからずじまいだ。


ドアをノックすると、執事が出迎えた。以前に来たときと変わらない、若い優男だ。

まあ、本人はヴェラクルスかどこかにいる酒場の兄ちゃんにイれあげていたがどうなんだろうな。うまくいってたんだろうか。

実際のことはよく知らんが。それにしても執事も自分好みのをきっちり選んでくるあたり、あいつらしいといえばらしいことではある。



「いらっしゃいませ。ミッターマイヤー様。」




執事を見ながらそんなことを考えているとは露知らずに、丁寧に挨拶をしてくれた。




「やあ、久しぶり。ご主人は在宅かな?」



【More・・・】

挨拶もそこそこに主人の在宅を確かめると、執事は頭を振った。

「あいにく、主人は外出しておりまして。」

「そうか。何か探しにでも出かけたかな。」

「いえ、買い物に出かけるとのことで、市街地へ出かけましたが・・・。お会いになりませんでしたか。」


「うん。そうなんだ。街の方へもどってみるよ。そこで合流できるかもしれない。」

「よろしければ、客間でお待ちになられてはいかがですか?」


「いや、お気遣いはありがたいが、婦人の買い物はいつになるか知れたものでもないしな。探したほうが案外はやそうだ。」


「さようでございますか。もし入れ違いになられた際は、言伝をいたしますので。」



「うん。よろしく頼む。それじゃあ。」


挨拶もそこそこに、俺はマルセイユの街中へ戻り始めた。



・・・



広場にもどってみると、その一角でなにか騒がしい。

さっき見かけた私掠艦隊の連中が人を追いかけているようだ。

賞金首か、それとも分捕ったものを盗まれでもしたのか、やたらと血色ばんでいる様子だ。


追っ手を振り切れないと観念したのか、やがて追いかけられているほうは立ち止まり、曲刀をすらりと抜いて構えた。

とたんに、周りを囲みかけていた人だかりがおおっと声を上げ、一歩退いた。

男たちも追いかけるのをやめ、少し離れた距離でサーベルを抜いた。

「おっ。やりあうのかね。」

じりじりと緊張感のある間が続いている間に、俺はそそくさと近くへ駆け寄って人ごみの中に入り、サーベルを抜いた方を見やった。

大分近づいてわかったのだが、どうやら曲刀をもって、半身に構えているほうは女性のようだ。口元を布で覆ってはいるが、すこし少年のような顔立ちで、目つきは鋭いながらもやや大きい。黒髪は肩につく程度の長さで、癖があるのか、先があちこちにはねている。なかなかに美人かもしれんな。と場の雰囲気に合わないことをつい考えてしまっていた。だが、すぐに俺の目は彼女が持っている曲刀に目がいった。





変わった曲刀だった。だが戦場で、遠巻きに一度見たことのある剣だった。姿かたちはシャムシールとかわらない、ありふれた曲刀なのだが、刀身がやや赤みを帯びている。そうだな。血の色ではなくて、さしずめ桃色といったところだ。

たしかあの剣は中東の片田舎にいる刀匠が鍛え上げた逸品らしいと、カリカットで聞いたことがある。



そんな剣の持ち主がなぜ追われていて、命のやり取りをしなければならないのかは、はっきりしたことはわからないが、戦場で見たことのある剣を持って、私掠艦隊の連中に追いかけられている賞金首と思わしき航海者。そんなのを前にして気にならないわけがない。


「間違いない。マスカレードだ。で、その剣の持ち主が女とくれば・・・こりゃ助けないわけには行かないな。」



私掠艦隊の連中の鼻を明かして、金を売ることができ、なおかつ名刀を持つその航海者と知己を得ることができるとなれば、命を張ってもなかなかの報酬だ。下心がないでもなかったが、そのときはどちらかというと、曲刀マスカレードの方に興味があった。本当だ。

そんなおっかない女に触りでもしたら火傷だけじゃすまなそうだからな。



ともかく、タイミングを見計らって、俺はこいつらの間に割って入ろうと思ったんだ。知り合いの女冒険家を捜すなんてことは、もう頭から抜けていってしまっていた。



                                          ※つづく
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テーマ : 大航海時代Online - ジャンル : オンラインゲーム

00:41  |  短編書き下ろし  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

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