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2013.04.30 (Tue)

even if we're just dancing in the dark ①

そもそもの発端は金交易の際に、マルセイユに行った時の話なんだが。
なぜマルセイユに行ったかは、まあこの際は関係ないかな。
知り合いの、当時のバーボンハウスに、俺と航海者養成学校で同期の女冒険家がいただろう。

彼女が猫を飼うことになって、積み込んだ金を売りさばくついでに、その猫の様子を見に行ったとかそんな感じさ。

うちの通訳マニアのお使いとかじゃあないのは確かだ。

大体、そんな事件じみたことが起こるのは夜というのが相場だったし、起こるはずがないと思ってたんだ。

その騒動は真昼間に起きた。なおかつ、広場のど真ん中でだ。とはいえ、最初から大騒ぎになるような感じではなかった。ちょっとした喧嘩が起きて、人だかりができているという具合だったんだがな。

それにしても、自分で言うのも恥ずかしい限りだが、こんな出会い方は今後はごめんこうむりたいもんだ。

もっとも、これで最後になればいいのだが。

【More・・・】

いつものようにリオデジャネイロで金を買い叩いたあと、マルセイユへ向かったんだ。

その道中はなんともなかったわけだが、問題は交易所についたときだ。


交易所の親父が朝から飲んだくれてやがる。まあ、いつものことではあるんだが、どうにも仕事をしてる様子がない。

「相変わらず昼真から酔っ払っているのかい、おっさん。」

金塊をひとつ、目の前に置いて話しかけた。


「相変わらずとは何だ。・・・今日は特別最悪の日なんだ。まったくやってらんねえよ。」

「おいおい、せっかく俺が金塊積んでリオデジャネイロから帰ってきたんだ。いきなりクダをまかないでくれよ。・・・で、いくらだ。今の相場は。」

「今は商売できん。」

「何?」

「売買できねえといってるんだ。だから昼間から酒飲んでるのよ。」

親父の傍らには何本もワインのビンが転がっている。いつもよりはるかに多い。親父の目も眠たげに据わっている。

それにしても、どうにも腑に落ちない。

「どういうことだ。売買ができないってのは。政府から禁止令でもでたのかよ。」

おかしな話だ。そんな大事なら噂話ならともかく、フランス政府からでも御触れがでてもおかしくはない。それがまったくないということは、ごく私的な事なのか。


交易所にくるまでにいくつか店を見かけたが、ほかの商売は特に変わりなく営んでいる。いったいどういうことだろうか。

「・・・あいつらを見てみろよ、疾風の」

親父が広場のほうに顔を向け、くいとあごを向けた。

その方向をみると5~6人程度の集団がいた。特に変わった様子はない。一般的な航海者の格好だ。


「なんだ。あいつらがいると商売できないのか?」

「やつらはな、交易所から輸送される荷物を狙っているんだ。もちろん、厳重な警備をつけてはこぶわけだが、やつらは時にそれすら破り、交易品を強奪していくんだ。」

「顔が割れているのに手出しできないのか。政府は何をやっている。」


「あれは私掠船団の一員なのさ。なかでも一番立ちの悪い連中だ。金目のものと見れば自国民だろうが容赦しない。同じフランスの旗を仰いでいるくせによ。こういうときは商売しても無駄さ。時には護衛の費用のほうがかかっちまって、何のために商売しているのかわからなくなっちまう。最近は海上だけでなく、やつらみたいに船に積む途中のものまで標的にしやがる。まったく、そうでなくとも、街中でひったくられたりするのによ。」


ぼやくのもわからないでもない。ことに、今目の前に金塊の束を抱えている航海者がいるわけだし、それを買い取って、転売すれば、交易所にしても悪い商売ではない。をれをみすみす逃してしまうのは、どうにもやりきれないだろう。



俺としても、はやいところ積荷をさばきたかったから、あいつらを何とかしたかった。妙案は特にないが、ふと、一人の人物が浮かび上がった。


「おっさん。金はいくらだい。」

「だから今日はあきないは・・・」

「あいつらを何とかすればさばいてくれるんだろう?」

今日何度も口にした言葉をさえぎって俺は切り出した。

「まあそれはそうだが・・・。あんたが無茶やって、縄にかかるようなことになると・・・」

「まあ、みてなって。得策があるわけじゃないが、ヘマはしないよ。一応これでも、顔は利くらしいからな。」

心配そうな親父をあとに、俺は足早に次の目的地へと向かった。

そう、最近猫を飼ったという冒険者のところだ。

彼女はマルセイユにいる。腕の立つ冒険者だ。国内外でもその名は知れ渡っているし、彼女の力を借りれば、今回のことは案外すぐに解決するかもしれない。当時も陸に上がったり洞窟に潜ったりしていたから、詳しいことはわからなかったが、時折商館に便りを出してきているところを見ると、元気でいることは確かだった。





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