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2010.05.02 (Sun)

さらば、遠き日

502.jpg



ミッターマイヤーはグラスを持ち上げて、注がれたバーボンをじっと見つめた。







【More・・・】

特にその行動については何かを意味するようなものはないのだが、どうやら考え事をするような時にするらしい仕草のようだった。
そして彼の向かい側に座している航海者がいる。その彼はうつむいて視線を落とし、複雑な、思いつめたような表情を浮かべていた。

彼ら以外には誰もいないセビリアの三番商館は、しんとしずまりかえっており、それはある種の不気味さを醸し出していた。
グラスの中の氷がとけ、からんと音を立てたのを機に、ミッターマイヤーは向かい側に座している航海者に目を向けた。

「どうしても、旅立たれるのですか。キャプテン」

航海者はうつむいたままこくりとうなずいた。

「貴方はバーボンハウスには欠かせない人だ。何より、商会発足当初からこの商会を支え続けてきた功労者だ。貴方がいなくなると聞いて、はいそうですかと素直に送り出せるようなものでもないんですよ。」

ミッターマイヤーは続けた。航海者はうつむいたまま。

「せめて理由を、聞かせてはもらえないだろうか。少なくとも私をはじめ、バーボンハウスの商会員には知る権利があると思う。あとで酒場のうわさ話で真相をきくなんて、水臭い話じゃありませんか。」

ぐいと酒をあおると、ミッターマイヤーはグラスをおき、向かいにうつむいたまま押し黙っている航海者・・・キャプテンを見つめた。

一向に話し出す様子の無い彼を見て、やれやれと一息つくと、テーブルにあるバーボンの瓶をつかんで、自分のグラスに酒を注いだ。

そしてまたグラスの中の氷を転がしながらやや語気を強め、幾分低音に抑えた押し殺すような言い方で

「・・・キャプテンの使用人があんたの財産を持ち逃げしたので?」

キャプテンははっとして、顔を上げた。上げた先には、ミッターマイヤーが確信めいた表情があった。

「しかもその使用人は我がイスパニアの裏組織の一員であるそうだが・・・?」

「なぜ・・・それをご存知で・・・」

ぽかんとしているキャプテンをよそに、ミッターマイヤーは得意げな笑みを浮かべた。

「オレだって、曲がりなりにも老舗商会の会長を務めている。先代ほどではないにせよ、それなりの情報が入るような人脈は持っているつもりなんだがねえ。キャプテン、ちょいとばかし、自分とこの会長を見くびってないですか?」

「あ・・・いや、そんなことはありませんけど・・・」

「まあ冗談はともかく、これは本当のことなんですか?」

笑みを浮かべた表情から一転して神妙な顔つきになり、改めて問いただした。ココまで情報が漏れていれば黙っていても仕方がない。そう観念したのか、今度はキャプテンから話を切り出した。

「ええ。うちの使用人が私と、私の妻が集めた財宝をもって、消えてしまったのは事実です。あの冷徹な「ドライアイス」と揶揄される管理局長にも掛け合いましたがいまだ消息はつかめないようです。なので、私もそろそろ自分で探し出そうと思い、陸に上がる決断を致しました。」

そこまで言うと、キャプテンはバーボンを口にして一息ついた。

「しかし、会長の言われるように、イスパニアの裏組織に私の使用人が関与しているのかどうかは、正直わかりません。私もそこまでは調べることが出来ておりませんが・・・・。会長、逆に伺いますが、本当のことですか?」

ミッターマイヤーは頭を振った。

「正直、噂の範疇を出ないのが正直なところです。ちょっと前に、酒場の親父にコッソリお願いをして、裏づけをとっているところです。まあ、じきにわかるんじゃないでしょうかね。」

キャプテンは再びうつむいた。

「そうですか・・・。あまり、根の深い話で無ければいいのですけれどね・・・」

 ミッターマイヤーも同じ思いであった。バーボンハウスはイスパニアの本拠地であるセビリアに商館を構える商会で「老舗」として知られる商会である。多国籍商会とはいえ、表立っての行動は憚られる立場にある。だが、同じ商会に所属し、長い間、苦楽をともにした仲間の役に立ちたいと思うのは当然のことで、この噂が事実であった場合、商会あげての行動などは著しく制限されてしまう。

「願わくば・・・単なる噂であってほしいのですがね・・・・」
そうつぶやいたのを最後に、お互いに押し黙ったまま、しばしの時間が流れた。

沈黙を破るように、ミッターマイヤーは、グラスに注がれているバーボンを一息に飲み干すと、

「まあなんにしても、今夜は貴方を送るために、ジパングにいったきりの連中も夜になれば帰ってくる。そのうち知らせは来るんだから、今日は楽しい時間をすごしましょうや。」


ミッターマイヤーの言葉にキャプテンは深くうなずき、笑顔を見せた。

「はい。すみませんが、よろしくお願いします。」

今度はキャプテンがバーボンの入った瓶をつかんで、ミッターマイヤーのグラスに酒を注いだ。

そして、グラスをあわせ、乾杯した直後、商館の扉が勢いよく開いた。

「キャプテン!!!浮気がばれて逃げだすって本当ですか!!!」

「え^^;」

・・・かくして、セビリアは今夜も眠らない。



~続く~






途中まで書いたのにほったらかしにしてました^^;
アナゴさんが先駆けてかいていたので、後付設定で、お別れ会の前という形にしました。
時系列的にはアナゴさんのSSのちょっと前の話ということで。
ということで。

またなんかあれば書きます^^

船長 腹筋ワッテルゼ 復帰マッテルゼ^^b
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21:12  |  短編書き下ろし  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

Comment

いいですね~
2人のやりとりをラーベナルトはどんな思いで聞いてるんだろうとか、ちょっと気になりました。
アナゴ |  2010.05.04(火) 23:11 | URL |  【編集】

アナゴさん

お返事おそくなりました。

ラーベナルト視点の話になるとまたちょっと幅が広がって面白いかもしれませんね^^

落ち着いたらチャレンジしようと思います。
ミッターマイヤー |  2010.05.10(月) 17:29 | URL |  【編集】

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