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2010.06.22 (Tue)

錆ついたマスケット銃 ~セビリアにて~

彼は激怒した。

いつもの温和な顔はいずこかへと消え、鬼の形相に変わっていた。

彼になにがあったのか、なにが彼をそこまで豹変させるに至ったのか。

詳しいことはわからないが、きっかけがあるとすれば、つい先ほど商館に運ばれてきた、一丁の銃であったろう。

どこかの家の紋が刻まれており、おそらく所有者の名前でも刻まれているらしい様子ではあったが、だいぶ傷んでいて、腐食により刻印もかすれていて、文字を読み取るには困難で、他はそれ以外には特に何の特徴も見られない、ごくありふれた銃ではあった。

商館秘書が街の配達係から荷物を受け取り、中身の銃を見るや否や、彼のもとへ走り寄り、この銃を渡した。

彼は眼を見開いてその銃の一点を見つめていた。

おそらく家紋やら刻印やらの部分を凝視していたのであろう。すると何かに気がついたらしく、はっとして、わなわなと彼の手が震えだした。

やがて銃を置き、秘書から出されたウィスキーを一息にのみほした。

ふぅと息をついたのち、傍らに立ったままでいる秘書に、顔を向けずに、小さいが、しかしはっきりと聞こえるように言った。


「これは誰からの贈り物だ。」

「・・・・リスボンの、造船所の親方からです・・・。」

直立不動のまま、目線はまっすぐ壁を見据えたまま、秘書は答えた。彼も、この古ぼけた銃に見覚えがあるようであった。

「親方からは、これも預かっております。」

特に包装もされていない手紙らしい紙切れをうけとった男は、とくに急ぐようなわけでもなく、たたんである紙切れを広げた。


・・・捜し人はリスボンにあり。明後日の日の出とともにポルトベロへ向かう様子也。


それだけが書かれていた。

「ジェイムズ、急ぎ出港の支度を。ラスパルマスへ向かう。」

「え・・・なぜ直接カリブへ・・・」

「リスボンからポルトベロまで向かう道中、ラスパルマスで一度補給によるはずだ。そこから先はカリブ海まで補給できないからな。ああ、それから今連絡の取れる商会員全員に詳細を伝えてくれ。いますぐだ。」

 少し離れたテーブルにいる副官に向かって、男は指示を出した。ジェイムズは主人を見やると、無言でうなずき、商館を出て行った。

 
「どこの誰かは知らんが、冗談で銃を向けちゃあいけないって、親に教わらなかったか・・・。」

一人つぶやきつつも琥珀色のグラスを空けた。

傍らにいる秘書が尋ねた

「船長はよろしいので?」


聞かれた男は、鋭い眼光はそのままに、口元だけニヤリとゆるめた。


「俺はいいんだ。いつも本気だから。」



男は席を立ち、商館の出口へと向かった。


ここで会ったが百年目ってやつだ。まっているがいい。


男は出港所へと歩を進めていった。




~終わり~

【More・・・】



未完成だったのを無理やり終わらせました。

休止するまえに何とかこれを。。。と思った結果、いつも以上にお粗末なものになってしまいました。

まあいいか。

ずいぶん前に書いた「マスケット銃」シリーズの番外編ということで。


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12:28  |  短編書き下ろし  |  トラックバック(0)  |  コメント(1)

Comment

艦隊を引き連れて遠征ですな。
それじゃ後続の援軍艦隊のお話を餞別としますか(ゴ゚ω゚)

…今月中には書けたらいいな。
アナゴ |  2010.06.22(火) 20:43 | URL |  【編集】

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