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2008.04.23 (Wed)

【わわわ帝国序章】 我が往くは、未知の大海(前編)

広大な海。その広さは計り知れず、また、その先に見えるものもまた未知。

それはときに優しく航海者をでむかえ、時に荒れ狂う嵐をまとって襲い掛かる。

一握りの者のみが、数々の困難を乗り越え、栄光を掴み取る。命知らずの船乗りにとってその輝きはまさに、金色に輝く財宝の如くである。

大海原にその身をさらけだし、勇気をもって進む多くの船乗りたち。

みな、勇気と知性を併せ持つものばかりではあったが、物事に例外は付き物である。

一人の少女がいた。

彼女もまた、広大な海に惹かれ、未知なる物に思いを馳せる者のひとりである。

彼女は争いごとは嫌いであり、また、海事の知識も持ち合わせてはいない。

身なりもごくごく普通の格好であり、

事実、荒くれ者が集まる酒場において、これほどのアンバランスな組み合わせは無かった。

彼女の目的は縫製による交易利益である。





【More・・・】

そんな彼女が地中海を抜け、東アフリカ沖を巡航していたときである。

見張りの水夫が金切り声を上げる。

なにかを発見したらしい。

少女が船室からでて、小走りに船首にむかい、先を見つめる。

先のほうに煙が立ち上っている。どうやら戦闘が行われているようだ。

さらに海面をみると、おそらく難破したとおもわれる船の残骸や、破壊された木材が浮かんでいた。

積荷の破片や木材の断片につかまっている水夫もちらほらとみえる。

少女は彼らの救助をしながら進路変更を行うことを決めた。

収容を終えかけて、進路の変更を指示しようとしたその時、後方で何かが海に落ちる音が聞こえた。

振り返ると、黒い旗に白い髑髏を描いた帆が翻っている。

海賊である。

先程の音は遠方から発射された弾丸が着水した音であったのだ。

少女はあせる気持ちを押さえ、先程の航路変更を指示した。

そのまま前方に進んでいけば、当然戦闘に巻き込まれてしまうからである。

乱戦に持っていくのはそれはそれで妙案ではあるが、彼女にそのような思考ができるほどの余裕も無い。

舵をきり、船は旋回をはじめた。

海賊もそれに合わせて旋回を始めた。恐ろしい速さの転舵で、あっという間に差を詰めてきた。
平行に進みながらも、やや鋭角に少女の船に向かってきている。

相手はアラビアンガレー。片や少女の船は商用のピンネースである。
追い風とはいえ、風と人力による加速を得ることができるガレー船のほうが、速度の点、水夫の数においても1日の長があった。

やがて追いつかれ、白兵戦が始まった。

やはり日々海賊として修羅場をくぐってきた彼らにたいして、少女側の戦力は圧倒的に不利である。

どちらにせよ、彼女が捕らえられてしまっては元も子もない。水夫もそれを知ってのことか、少女をぐるりと囲って、海賊たちの猛攻に、一人、二人と倒されながらも抵抗をしていた。

少女も少しでも状況を奪回したい一心で辺りを見回すと、船室のほうから先程救助した水夫たちが看板に躍り出た。どうやら騒ぎを聞きつけてきたようだ。

救助の際はさして気にもしなかったが、みな頭に朱い布を巻き、また、まとっている衣服にしても、すべて朱に染められていた。その数、16名。

少女は彼らにさした期待もしていなかったので、相変わらず不利な状況をどうするかと絶望感に苛まれながら辺りを見回していたが、彼らが出てきてからの海賊の様子がおかしい。

攻撃をやめ、赤い水夫達に向き直った。なかにはおびえるような表情を見せ、額に汗を浮かべるものもいた。


                             ―前編・了―
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16:03  |  短編書き下ろし  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

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