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2009.07.29 (Wed)

千億の星 ひとつの希望 【前篇】

一隻の船が波間を漂っている。


人影はなく、ただゆらゆらと潮の流れにまかせるがままのようである。

しかし帆はきちんとはられており、船体には損傷はみられるものの致命的なものではない。

一体この船に、何が起こったのか。

海の上で起こる事を想像するのは人為的なものであればたやすい。

一見したところ、おおかた海賊にでも襲われたのであろうと思われる。

嵐ならば帆もボロボロになっているはずである。

船体への損傷と、水夫が少ないところをみると、どうも海賊船におそわれた、というところで説明がつくようなこの状況だが、問題はそのようなところにはない。


船長は、健在である。

しかし、メインマストの柱に寄り掛かって、すわりこんだまま動く気配はない。

左腕のつなぎ目あたり鎖骨のやや下あたりから血をながしている。

心臓に近い個所である。応急処置はしてあるものの、包帯を巻いてしばらくすると出血で朱に染まる。

陸に上がって早く治療を受けねばならないが、船は損傷がひどく、本来の速度での航行速度をだせずにいる。


ただそれでも、船長は副官やわずかな水夫たちに指示を出し、母国へ戻るべく指揮を執った。

ときどき、出血による貧血で意識を失いながらも、船長としての責務をはたしていた。














それから10日ほど経過した。
























「船長!!セビリアが見えてきやした!!」



見張り台の水夫が叫んだ。









副官が安堵のため息をつき、ふと傍らに座りこんでいる主人のほうをちらりと見た。



「てっ提督!!!」



叫ぶなりあわててしゃがみ込んで、船長の顔を覗き込んだ。




顔面蒼白となりながらもなお健在であった船長は、表情一つ変えずにその報告を聞いていたのかいないのか。そのあたりはわからなかったが、こうべを垂れて気を失っていた。










「医者を呼べ!!!はやく!!!」












副官の指示を出す声と、甲板を駆け巡る足音で意識を取り戻した船長は様子を窺いに顔を近づけた副官を一瞥し、冷笑を浮かべながら言った。









「騒ぐな。負傷したのは、俺だ。卿ではない。副官の任務に、俺に代わって悲鳴を上げるというものはなかったはずだ。」








冷然と言い放つ船長であったが、誰の目にも疲労の色は明らかであった。



負傷してから日はたっているとはいえ、ろくな処置も受けられずに血を流していたのである。また海の上である以上、物資についてはなかなか思うようなものは手に入らない。







「俺にはベッドの上で、パジャマを着て、死ぬのは似合わない。そうは思わんか?」



問われた誰もが回答しにくいような事をいいつつも、自らの責務を果たさんとメインマストの柱に寄り掛かっていた。






海賊におそわれ、自らは負傷しながらも、ここまで混乱もなく帰還できたのは、船長の尋常ならざる精神力と統率力の賜物であった事は疑いようもない。









日が、暮れようとしていた。












「まもなく、セビリアに着きます。寄港の準備に取り掛からせていただきます。」





夕焼けに染まる水平線を見つめながら副官は報告をした。






「・・・・・・・・提督、今ここにいる水夫たちは、最後まで、提督のお供をする、と言っております。」










「そうか。・・・・・・世の中、案外バカが多いな・・・・・。」







そう言われて、戸惑いを隠せない副官を横目に、再び静かに目を閉じた。





一瞬、こときれたのかと思い狼狽して駆け寄ったが、呼吸をしているのを確認すると、胸をなでおろし、寄港の準備に取り掛かった。




彼らの、まだ長い一日はこれからであった。







【後半へ続く】







【More・・・】




日々の仕事がとてつもなく忙しいのでどうしようもないのですが、休み時間に息抜きにチマチマと書き上げていたものをここにあげてます。

ほかに別の読み物も書いていたのですが、ちょっと構想が途絶えてしまったので、気晴らしに別の話を書いてます。


ところどころにオマージュを入れつつの作品ですので、元ネタが分かる人はおもわずニヤリなんでしょうね。


後編もありますが、二話に分けるか、一話にまとめるのか考え中です。



それにしても、海賊に襲われる、ということは本来ならは我が身の破滅なんですよね。

ゲームでいうならゲームオーバー。

そんなこと考えると・・・・・。


ま、それはそれとして、書いていた後編の一部を自分のミスで消してしまったので、いつUPできるかは不明ですが、またよろしく^^b




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22:36  |  短編書き下ろし  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

Comment

No title

読みふけりました。
すばらしく文作ありますねぇ^^
できればフォントを大きくしてもらえるとオッサンは読みやすいですw
リック・ディアス |  2009.08.01(土) 01:57 | URL |  【編集】

No title

リックのオサーンへw

おほめいただき、光栄ですわん。

ブログの右上にフォントサイズかえれるオサーン救済仕様のテンプレなのですよwおためしあれw
ミッターマイヤー |  2009.08.01(土) 18:56 | URL |  【編集】

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