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2009.06.20 (Sat)

アンソロの練習? ~ある日出来事~

航海を終えて港へ戻ると酒場で酒や料理をふるまい、水夫や副官をねぎらう。
最近はコース料理なども出来ているため、どこかの港に立ち寄った際に連絡船でおおかたの予定を酒場のマスターに伝えておけば、港についた頃には出来たてのご馳走と酒をあじわうことができるようになった。

これがなかなかのもので、追加の注文などしなくてもいいほどの量で、それでいて多すぎない程度に調整してくれている。
さすがの職人芸と言うべきものだ。酒場のマスターの腕に感謝しなければ。


そんなわけで今日もしこたま飲んだ。楽しい時間をすごし、広場にある自宅の前にたどり着いたとき、あることに気がついた。













自宅の鍵が、ないのだ。











時間的にも真夜中。街の明かりは消え、開いているのは酒場と、この時間ならば普段はしめているはずの道具屋がこっそりと明かりをつけて営業をしているくらい。



世間一般でいわれる「もののけが出る」ような時間帯である。



当然、守衛は立っていない。日中たくさんの人でにぎわうのこの広場も、さすがにこの時間は人が動く気配はなく、静寂に包まれている。



ついぞ先刻まであおっていたウィスキーの瓶を持ったまま、私は鍵が入るであろうとおもわれる大きさのポケットに手を突っ込み始めた。


作業を始めて半刻・・・やはりない。


そうだ、あるはずもない。どこかに落としたのか。酒場で誰かにもっていかれたか。


いずれにせよ、現実はひとつ。 


このままでは自宅に帰ることができないのだ。


「悲しいけどこれ、現実なのよね」


私はぼそっとつぶやいた。


だからどうなるわけではないが、不測の事態に陥ったときに自分自身に言い聞かせる時に、私はこの言葉をつぶやく。


そうすることでとりあえずは心を平静に保つことができ、それが最善の結果を生む。

私は考えた。ウィスキーで得た心地よさは影を潜め、けだるさと絶望感が首をもたげ始めてきた。

だがこのままいても仕方がない。

まずは自宅へ帰る方法を考えるのだ。

誰もいない、私の息遣いすら、はっきりと聞こえてくるような静寂の中、私はふらふらと自宅の周りを見回し始めた。


【More・・・】

私の部屋は地上一階にある。

小さいながらも庭があり、周りは様々な建物によって、囲まれている。

向かって右側は畑になっていて、ここからなら庭に入ることができそうだ。

ただ、3部屋連なってあるうちの真ん中に、私の部屋があるため、敷地内にはいるにはよそさまの庭に侵入しなければならない。

夜中とはいえ、音を立てれば怪しまれる。寝静まっている様子ではあるが、大きな音でも立てようものなら起き上がって様子を見に来るだろう。

私は田んぼに入り、庭周りが一望できるところまできた。まずは庭から自宅に入るための窓が開いているかどうかを確認しなければならない。






どうやら今日もあけてあるようだ。無用心極まりないが、過去、これで何度も野宿の危険を回避している。


ほっと一息ついたがこれだけでは当然、自宅に入れるわけではない。

問題は庭の仕切り板、(つまりは柵の役割をしているもの)がどれだけの強度のものであるか、である。

鉄製であれば、少しくらい力を入れても微動だにしないし、それの上を歩いていけば容易に自宅の庭にたどりつけるのだ。




だが、やはりというか、想定していた通り、仕切りは鉄製ではあった。

だが、長年の使用により劣化しており、根っこがさびてボロボロと落ちてしまいそうになる。


少しの力でミシミシと音を立て、柔軟性にとんだ素材のためになにか力を加えると音とともに倒れ掛かったりする非常に厄介なものである。


私はよそ様の畑のなかにたたずんで、よそ様の庭の外側から、私の自宅の庭へのルートを想定していた。



最短距離で行くこと、音を立てないこと。そして何より、時間をかけないこと。



これらの条件がもとめられた。


頭の中で最適ルートを検証していると、ふと、先程の庭の仕切りよりも頭ひとつ分ほど大きい仕切りが目に留まった。それは私宅の端から端までをとおりこして、私がいる畑の切れ目部分にまである。
庭の奥側にある建物を囲ってある仕切りであった。

黒ずんで、やや光沢のあるつくりからして、もしや鉄製では、との思いが脳裏を横切った。


私はすかさず仕切りの上を掴み、ぐいと私の方向に引き寄せるように力を加えた。

すると仕切りのほうは全く微動だにせず、尚且つ音らしい音もさせずに、敢然と私の力を受け止めた。





ルートは決まった。



この仕切りで体を上へ起こし、庭の仕切りと越えて、よそ様の庭へ入る。そこからよそ様と私の庭の間にある間仕切りを乗り越えて、私の庭へ入り、僅かにあけてある自宅の窓から帰還を果たすのだ。




行動にうつすその前に、身軽にならねばならない。私は貴重品以外のものはかばんに詰め込み、自宅ドアの前に置いた。

そして、余計な足音などを立てぬように、靴も脱いだ。

足の裏が汚れてしまうが、この際、背に腹は変えられぬ。




「自宅の庭に入るのにもままならぬとは・・・・滑稽極まる話だ・・・」




心の中でそう呟き、口元に自嘲めいた笑みを浮かべ、よそ様の畑の中に仁王立ちするその姿は、なんとも形容しがたい光景であったろう。

ともかく私は普段の洋上での航海や、陸上での遺跡発見などとは違う、ある種の緊張感が全身を貫いた。





成功すれば安眠を、さもなくばわが身の破滅。








目指すは数メートル先の自宅の庭である。


私は覚悟を決め、となりの建物を仕切っている柵にしがみつき、一息によじ登った。





手がかりになるのは 薄い月明かり。




真っ暗な空に、高く上った月だけが、私を見守っているように思えた。











~終わり~













あ~なんか歯切れわるっ


てなことでまた次回ノシ

































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19:01  |  短編書き下ろし  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

Comment

No title

その後どーなったんだ!
気になって眠れないじゃないかw

楽しんでいます。^^
ムーミンママ |  2009.06.22(月) 23:58 | URL |  【編集】

No title

ママさん。

いらっしゃいません^^
その後は潜入成功→脱ぎ捨てたもの回収して、寝ましたよ^^

実は、コレ、週末リアルにおこったおはなしですw
ミッターマイヤー |  2009.06.24(水) 19:09 | URL |  【編集】

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